ひ とりの乙 女 をめ
ぐるバリエーション (彼 女 の 生 の 三 つ の 契 機 )



ひ とりの乙 女 をめ ぐるバリエーション (彼 女 の 生 の 三 つ の 契 機 )
1 夢
眠っている、彼女は裸で、このうえもなく清らかに、
たとえ亜麻布に覆われていたとしても、その様とは比べようもないほどに。
彼女を無防備に横たわらせている、寄る辺なさそのものが彼女を抱擁する、
閉じ込められた血潮の網に、彼女を差し出しながら。
彼女の腰は瞬時、わずかに躍り上がる、
ゆっくりと揺れ動く胸部の曲線、
それは夢の起伏に従い揺れる、温かみのある
寡黙な蜜がそのふくらみを満たすかのようだ。
唇の果肉は名もなき実りに名前を与えるだろう、
声ならぬ声をもってして、なぜなら
ほかならぬ彼女の唇の甘さがその名を告げるだろうから。
そして締め付けられた翼の影、
それは彼女の明るい太ももから解き放たれよう、
もし彼女が目を覚ましていたのならば。
2 鏡
硬い水がその倨傲を描き出す
魚も音もない静寂の上に。
停止した細流が映し出す
傷つけられることのなかった彼女の両膝を。
抵抗をしめすことのない透明体の中へと沈み、
彼女は開花にさしかかろうとする自らの実りを見つめる、
脈打つ蜜と熱い手ごたえに
魂の上で堅くなる果実を。
波が急ぐように、やわらかく、
光線の一本一本がまず彼女を
静まる流れのうちに写し取ろうとする。
血管の中に閉じ込められた脈動が
その息吹を放ち、彼女は感じる
自らの身体を、偽りのない川の岸辺に。
3 死
突如として窒息を誘う
閉ざされた境域を横切るように、
彼女の額の上を、わずかに翳る
彼女の性の上を、一羽の鳩が飛び去る。
ランプの曲線のようにくびれる、
彼女の硝子の腹部で
あたたかい血潮のゆるりとした流れは
甘く、その白さのために凍りつく。
消え去る明るい丸みは
地中深く、大地の口舌へと
隠された蜜を滴るにまかせた。
もはや広い空を失くした翼と帆は
彼女の青い瞳の外へと移され、
大気から、その飛翔から遠ざかって行った。
ホルヘ・ローハス (1911-1995)
(訳:真下 祐一)
Performed on May 5, 2005 at Loop-Line Cafe in Tokyo
Original
concept by A. Jaimes-Larrarte (developed with Satomi, Yuko, Robin, and Shin).
Dance by Satomi Akutsu and Yuko Negoro.
Live painting by Shin Nishizono.
Live music by Robin Coe.
DVD projection (photographs, super 8 mm film, video) by A. Jaimes-Larrarte.
![]()
© 1992-2005 Alejandro Jaimes-Larrarte - All Rights Reserved.
Please see copyright information about using
these images